TOKYO ROPE RECRUITMENT 2019

技術系対談

「当たり前」をつくる。その誇りと責任を噛みしめて。

東京製綱の技術系社員。彼らは仕事のどんな部分にやりがいを感じているのだろうか。
そして一本のロープに込める想いとは?二人の対談を通して、東京製綱の技術力の源泉に迫った。

鎌田 浩光

HIROMITSU KAMATA
DEPARTMENT :
土浦工場 品質管理部
JOINED YEAR :
2011年入社
EDUCATION :
工学部 機械工学科 卒

明石海峡大橋や横浜ランドマークタワーなど、幅広い分野で東京製綱のワイヤロープが使用されていることに魅力を感じ、入社を決意。入社後は、グループ会社であり現在は企業体制の変更により解散している岩手県の北上機械製作所設計部を経て、現職。

渡辺 紘一郎

KOICHIRO WATANABE
DEPARTMENT :
土浦工場 製造部 製線課
JOINED YEAR :
2004年入社
EDUCATION :
理工学部 機械工学科 卒

入社後、製造部機械グループに配属。その後、2011年にはTokyo Rope Vietnam拡張計画のプロジェクトメンバーに抜擢されるなど、分野にとらわれないキャリアを歩む。2015年からは、製造部製線課長としておよそ100人の製造部員を統括している。

理論を上回る、現場の目。

QUESTION

本日はよろしくお願いします。まずは、お二人の仕事内容を教えてください。

ANSWER
渡辺

私と鎌田君は「前工程」と呼ばれる、ワイヤが撚られワイヤロープになる前、つまりワイヤそのものを加工する部分を担当しています。線材に熱処理や引抜加工を施し、強靭なワイヤに仕上げる、製品を作る上で最も重要な工程と言えます。私はそこで製造部門を担当しています。

鎌田

私は前工程のうち、加工されたワイヤの寸法や強度の確認といった品質管理を担当しています。また、お客様と製造部の間に立って、多様なニーズに応えるための技術サービスも行っています。なので、私と渡辺さんは部門こそ異なりますが、いつも一緒に仕事しています。

渡辺

日々、議論ばかりしているけどね(笑)。端的に言えば、私たち製造部は作り手の目線。鎌田君たち品質管理部はお客様の目線。必然的に互いの主張がぶつかることは多いです。もちろん、お客様の要望に応えるのが私たちの仕事ではあるけど、同時に製造部はコストや生産性などさまざまな視点で見なければなりません。

鎌田

そこが難しいところです。

渡辺

誰もが今よりもっと丈夫なワイヤロープをつくりたいと思っていて、目指しているものは同じなんだけどね。

鎌田

私もそう思いますね。いくら議論をしても、衝突をしても、根っこの部分では一致団結しているんだな、と。

QUESTION

仕事をする上で大切にしていることは何でしょうか?

ANSWER
渡辺

コミュニケーションですね。私は2015年に製線課長になりましたが、配属された当時、それはもう大変でした。自分より年上の人たちに指示しなければなりませんし、現場の技術スタッフは皆それぞれにこだわりがあり、意見があります。ですから、当初はどのようにしたら現場に一体感が出るのかがわからず、腐心しました。そこで意識したのが、現場の方々との些細なコミュニケーションです。

鎌田

工場で働いている人は職人肌の方が多いので、まとめる立場の人は大変だと思います。具体的にどんなコミュニケーションを意識されていたんですか?

渡辺

本当に些細なことだよ。業務内容だけではなく、「あれ?今日顔色悪くないですか?飲みすぎたんでしょ?」とか、実にとりとめのない会話。むしろそんな会話の方が多かったくらい。でも、毎日続けていると、ふと仕事上の悩みを打ち明けられたり、もっとこうした方が上手くいくのではと意見を言ってもらえたりして、不思議と距離が縮まっていったんだよね。

鎌田

渡辺さん、そういうの上手そうですよね。私もそれに近いと思いますが、「相手の話をしっかり聞くこと」です。特に現場の声は大切にしています。私の仕事は、数字や基準など、あくまで理論をベースとしています。でも、仕事のすべてが理論で片付くわけではありません。ワイヤ一本一本には、それぞれに癖があります。それらは理論では予測できません。そういった、言葉では表現できない微妙な変化に気が付けるのは、現場の人たちであり、私たちではない。まさに理論を上回る“現場力”ですね。

渡辺

良いこと言うね。私も、東京製綱の技術力の源泉は“現場力”にあると確信しています。現場とは、つまるところ「人」。例えば、ワイヤにとって非常に重要なのが、その温度ですが、季節や天候などの外的要因によってワイヤそれぞれの温度に個体差が出てくる。それにワイヤを加工する機械も、今日と明日が同じ状態だとは限らない。鎌田君の言うようにそういった細かい変化を察知できるのは、理論でも、基準でもなく、「人」だと思っています。そして、東京製綱の“現場力”は世界一だと自負しています。

鎌田

現場の人たちも決して理論をないがしろにしているわけではなくて、他の部門の意見もちゃんと聞いて、まず考えてくれますよね。

渡辺

現場がすべてというわけではないからね。いろいろな視点で議論して、はじめて高品質なワイヤロープが生まれるんだと思う。東京製綱の社員は「自己主張が少ない」と周りから言われることもあるけど、決してそうではなくて、まず相手の話をきちんと聞き、自分なりに咀嚼して、そして意見をする人が多いんだと思う。

大切なのは、あらゆる物事に意味を見出すこと。

QUESTION

人についての話が出ましたが、何か「東京製綱の人」に関する具体的なエピソードはありますか?

ANSWER
鎌田

仕事とはあまり関係ないのですが、私は東北地方出身で、2011年の入社直前に東日本大震災がありました。幸いなことに家族皆大事には至らなかったのですが、いろいろ不安を抱えながらの入社となりました。そんな中、会社から支援金をいただいたんです。被災した社員のために、社内で大規模な募金活動をしていたみたいで。驚くと同時に、とても嬉しかったです。人情味のある会社だと思いました。渡辺さんはいかがですか?

渡辺

私の場合は、入社後3年間お世話になった上司かな。Iさんと呼ばせてもらうけど、もう半端なく厳しかった。何をやるにも否定されて、毎日自分のダメなところをずっと紙に書かされていたよ。

鎌田

すごい……。今じゃ考えられないですね。それに、渡辺さんにそんな頃があったなんて、考えられないです。てっきり、今まで難なく優秀に生きてきたとばかり(笑)。

渡辺

そんなことないよ(笑)。でも、今となってはIさんに感謝してるかな。辛かったけど、正しいことを言っていたから、あの人は。

鎌田

どんなところが正しかったんですか?

渡辺

Iさんは仕事におけるあらゆる物事に意味を求める人だった。「その意見は何を根拠にしているのか」「その考えが丈夫なロープをつくる上でどう重要なのか」など、当時意味や根拠とかを考えずに仕事をしていた私を、Iさんは正しく導こうとしてくれていたんだと思う。

鎌田

確かに、渡辺さんは私をはじめ他の社員に対しても、意味や根拠を尋ねることが多いなと思っていました。Iさんから受け継いだものだったんですね。私もそれに影響されて、普段だったら何の疑いも持たない部分にも、目を向けるようになりました。

渡辺

うん。私たちは日々膨大な原料、あるいはデータに向き合いながら仕事をするわけだけど、その一つひとつにきちんとした意味がある。どうしてこのワイヤが思い通りに加工されないのか、どうしてこの数値に達しないのか、など、意味や根拠を突き詰めて考えれば自ずと答えは見えてくるものだと思う。

鎌田

Iさんとはその後どう付き合っているんですか?今ではすごく仲が良いとか?

渡辺

Iさんが定年で退職されてから、一度も会っていないよ。正直、会いたくはないかもしれないな(笑)。おそらくいつまでも私には厳しいだろうからね。いつまで経っても、怒られ続けるだろうな。でも……。

鎌田

でも?

渡辺

少し前に、私の先輩が、Iさんに会ったみたいなんだ。その時に、私のことを話したらしくてね。「あの渡辺が今では課長だぞ」と言ったら、Iさんは無言で涙ぐんでいたらしい。それを聞いて、何だか胸が熱くなった。

鎌田

何か、深いですね。嬉しいんですか?そういうときって。

渡辺

よくわからない。嬉しいのか何なのか、複雑な感じ。でも、今度会ったら御礼を言いたい。少なからずそう思っているよ。

鎌田

東京製綱の社員って、それがどんな形であれ、愛情を持って接してくれる人が多いと思いますね。和田工場長をはじめ。

渡辺

うん。和田さんは土浦工場の中でも別格だよ。あんなに熱い人はいないと思うな。それでいて、すごく理論的で、何より社員一人ひとり、そして会社に愛情を持ってる。だからこそ土浦工場の社員全員があの人に付いていくんだと思う。あとは、うちの社員について言うと、良い意味でも、悪い意味でも、人間臭い人ばかりだね。だからこそ、挑戦させてもらえる機会が多いし、途中で投げ出すことさえしなければ、一社員として、そして一人の人間として成長できると思う。必ずね。

一本のロープが、命を救う。その矜持を胸に。

QUESTION

最後に、お二人は東京製綱の技術系社員として働く醍醐味はどのような部分にあると考えていますか?

ANSWER
鎌田

格好つけているように聞こえるかもしれませんが、人々の「当たり前」をつくるという使命感ですね。ワイヤロープは決して目立つものではない。橋を渡るときや、エレベーターに乗るときも、ワイヤロープに目を留める人はあまりいないかもしれません。でも、世界中の人々が安心して生活するためには必要不可欠なものです。目立たないけど、すごく大切なものをつくっている。そういう部分に誇りや責任、そしてロマンを感じますね。

渡辺

心がくすぐられるよね。一般的には橋やビルそれ自体の方がダイナミックなんだろうけど、私たち、ひいては東京製綱の社員からしたら、それらを支える製品を手がけていることこそが誇りに思える。ワイヤロープ一本で人の命を救うことだってあるから。

鎌田

私たちの原動力って、とどのつまり、ロマンですよね。

渡辺

そうだね。さっき話した“現場力”も、社員一人ひとりの「もっと良いワイヤロープをつくりたい」という想いと、たゆまぬ努力がなければ生まれないと思う。そして、その熱い想いの元となるものこそ、社員一人ひとりのロマンだと思うな。

鎌田

あとは、たとえば誰かと有名な橋の話をしていて、「俺、あれ作ってるよ」と言ったら、「すごーい」となりますしね(笑)。ちょっと誇らしくなります。

渡辺

なるか?というか、その誰かって女の子だろ?

鎌田

違いますよー!勘弁してください!

渡辺

仕方ない。ともあれ、今日は鎌田君と意見が一致することが多かったな。普段とは違って(笑)。

鎌田

そうですね。これからも、ビシバシお願いします。

渡辺

仕方ない!

ワイヤロープづくりに大切なのは、有能な機械や緻密なデータ
というわけではなく、まさしく「人」なのですね。
社員の一人ひとりのさまざまな愛情、そして仕事に対するロマン。
そういった人間にしか織りなせない情緒的な
部分こそ、東京製綱の技術力の源泉であると感じました。
本日はありがとうございました。